料理人が作る、料理のためのパン

13年前、鎌倉のはずれで
主人と小さな飲食店をはじめました。
何度かイタリアを訪れる中で、
気付いたことがありました。
イタリアのパンは、
日本のパンとまったく役割が違う。
日本のパンは、完成された美味しさがあります。
けれど、イタリアの家庭で出されるパンは、とても素朴。
最初は物足りなく感じました。
しかし、料理とともに食卓に並んだとき、その意味がわかりました。
それは、主役ではなく料理を引き立てる存在。
例えるなら、「ご飯のようなパン」。
イタリア料理店がこれほど多い日本で、料理にバゲットが添えられていることに、どこか違和感を感じていました。
イタリアの農家さんとの出会い

数度目の渡伊で、
イタリアた中部・アレッツォの
小麦農家を訪ねました。
そこで、パン作りを教えていただき、
9年育てられていた酵母を分けていただきました。
その酵母を繋ぎ続け、十余年。
時間とともに育った味わいが、
いまのYOLUCAのパンの核になっています。
「スローフード」の思想を繋いで

イタリアには、
スローフード協会が提唱した
「スローフード」という思想があります。
早さや効率ではなく、
土地や文化を尊重する食のあり方。
その思想を広く伝えた
島村奈津さんにお会いした際、
イタリアでも酵母を守り、薪窯で焼くパン屋は年々少なくなっていると伺いました。
伝統は、放っておけば消えてしまう。
遠く離れた日本でこの酵母と文化を守っていきたいと思いました。
阿蘇という大自然に囲まれて

九州に移り、二人の子を授かりました。
阿蘇の大地、湧水、
この風景を未来に残したい。
阿蘇山の恵みである水。
その水で育つ熊本の有機小麦。
世界最大の活火山の麓で、
土地の循環のなかで生まれる素材を使い、
静かに 丁寧に
パンを焼いています。
そっと寄り添う、暮らしのパンを
YOLUCAのパンは、
単体で派手な味を目指していません。
料理と合わせたとき、
ワインとともに味わったとき、
家族が囲む食卓に置かれたときに
はじめて完成します。
それは
「暮らしのためのパン」。
あなたの食卓に
静かな豊かさを届けられたら嬉しいです。
三日かけて生まれる
奥行きのある旨みと、
ほのかな余韻。
食卓の一皿が、
もっと豊かになるパン。
まずは、オリーブオイルをつけて
お召し上がりください。
YOLUCA 根本ユリカ
